こんにちは、ぴぴおです。
突然ですが、オーバートレーニング症候群って聞いたことがありますか。
これはランナーにとって、とても恐ろしい症状なので、ぜひ知っておいてください。
ランナーには練習熱心な人が多いようです。僕の周りにも、忙しい仕事の合間を縫って練習にいそしんでいる人がたくさんいます。しかし自分を追い込む練習に意識が向きすぎて、休養と回復、すなわちリカバリーがおろそかになっている人もいるかもしれません。かくいう自分がまさにそうでした。
トレーニングは練習と回復がセットです。とりわけ中高年のランナーは回復力が若い頃に比べて衰えているので、より強くリカバリーに注意を向ける必要があります。
リカバリーをおろそかにして、疲労をため込んでしまうと、オーバートレーニング症候群になることがあります。僕は実際になりました。
オーバートレーニング症候群の症状
オーバートレーニング症候群とは、疲労がたまりすぎて、容易に体力が回復しなくなることです。
ウエイトトレーニングなどのパワー系の練習のやり過ぎでなるタイプと、長距離走などの持久系の練習のやり過ぎでなるタイプの2つがあり、それぞれ症状と対策はやや異なるようです。ここでは、ランナーがなりやすい持久系のタイプに焦点を当てていきます。
オーバートレーニング症候群になると、どのような症状が出るのでしょうか。具体的には次のような例が挙げられます。
- ジョギングや軽い運動で息切れする
- 手が震える
- めまいや立ちくらみがする
- 下痢気味になる
- 体重が変動する(増えるタイプと減るタイプがある)
- だるさが抜けない
- 体中に疼痛が発生する
これらは僕が経験した症状ですが、人によって症状は様々で、これらが全てが出てくるとは限りません。また、他にも不眠などの症状が出ることもあるようです。
貧血に似ている症状もありますが、血液検査では異常がないことが多く、スポーツ医学に詳しくない医療機関では原因不明の体力低下とみなされることもあるようです。僕も当時、いろんな医療機関にかかって検査を受けましたが、ことごとく異常なしと言われました。
僕のケース
僕がオーバートレーニング症候群になった経緯を説明しておきます。
2015年から2017年(44~46歳)にかけて、1009日にわたり1日も休まずに走っていました。
この間にマラソンの自己記録が3時間18分から3時間4分に伸びたこともあり、サブスリーを目指して練習を強化していました。
一方、息子が家から遠い中学校に通うようになったのを機に家族の朝の動きが早まり、僕の早朝練習の開始時間も5時ごろから4時ごろにシフトしました。
また、息子が小学生の頃は、早朝練習の最後に付け加える形で息子と2、3キロゆっくりジョグをしていましたが、中学生になった2016年からはそれをやめて、普通に一人で走るようになりました。
それからしばらくは、あまり調子を落とすことなく練習を続けていましたが、2016年9月に練習中に暗闇で倒木につまずいて転倒を回避したときに、左のハムストリングス付着部を肉離れしてから、調子が狂い始めます。
いつも平日の練習では10~12キロくらいの距離でジョグ、快調走(速めのジョグ)、ビルドアップなどを行っていましたが、次第に疲れやすくなり、2017年1月ごろから3キロくらいで疲れを感じ、ペースを上げられなくなってきました。
そしてサブスリーを目指していた2017年3月のメインレースは、直前に前年9月の肉離れとそれに伴う坐骨神経痛が再発して出場を回避。その後、4月に入れていたもう一つのレースに向けて調整していましたが、回復が思わしくなく、これではサブスリーはとても無理だと思ったときに気持ちが切れたらしく、一気に体力が低下しました。
それからは3キロで立ち止まりたくなるほど疲れるようになり、5月に連続ランニングの日数が1000日を超えたのを機に、6月から完全休養することにしました。
完全休養後も、体力は回復するどころかさらに低下し続け、上記のような症状が出るに至りました。そして、休んでいるのに、そけい部(足の付け根)に激痛が走るようになり、歩行や日常生活にも支障を来すようになりました。
リハビリやいろいろな対策をを試した結果、2カ月後くらいから徐々に調子が戻りだし、再びゆっくり走れるようになったのはおよそ3カ月後。ビルドアップなど、ある程度負荷のかかる練習ができるようになったのは5~6カ月後でした。
オーバートレーニング症候群の予防
このようにオーバートレーニング症候群とは、記録を目指すランナーにとって非常に影響が大きく、極めて恐ろしい病気だと言えます。
したがって、オーバートレーニング症候群になるのは、なんとしても避けたいところです。では、これを予防するにはどうすればいいのでしょうか。
その名の通り、トレーニングのやり過ぎによる症状なので、トレーニングを抑えるのが基本になります。
ポイントは以下のとおりです。
- リカバリーのリズムを作る
- 睡眠をしっかり取る
- 栄養をしっかり取って、体重を気にしすぎない
- メンタル的に追い込みすぎない
順に見ていきましょう。
第一に、リカバリーのリズムを作ることが重要です。
強度の強いポイント練習を行った後は、ペースを大きく落としたジョグでアクティブレスト(体を軽く動かして血行を促すことで回復を図ること)とするか、完全休養にするなど、練習の流れにメリハリを付けましょう。
僕は上述のように、完全休養を1000日以上にわたり取っていませんでした。また、息子が中学生になってから一緒にジョギングをしなくなり、リカバリージョグが不足していた可能性もあります。
第二に、睡眠をきちんと取るべきです。
睡眠は最も効果的なリカバリーの手段です。睡眠が不十分だと、筋肉の疲労回復が遅れるだけでなく、脳の疲労も残り、仕事にもトレーニングにも悪影響が及びます。
適切な睡眠の量は、人によって異なります。日中、頭がぼーっとして眠くなったりすることが多くないかといった観点で、睡眠が不足していないかどうかを判断しましょう。
僕は息子が中学校に通うようになったときに朝練の時間を早め、睡眠時間を削ってしまったのがよくなかったようです。
第三に、栄養をしっかり取り、減量しすぎないことが重要です。
体重が1キロ減ればフルマラソンのタイムが3分縮まる、などという説もあるくらいですから、体重に敏感になっているランナーは多いと思います。
確かに、体を絞るのは大事なのですが、無理にやせようとして食事を減らせば、体調を崩すことになり、当然、ランニングのパフォーマンスにはマイナスに働きます。
またBMIが20以下など十分にやせている人は、それ以上やせようとせず、練習の過程で適正になっていく体重を受け入れましょう。
僕は当時、おそらくホルモンバランスがすでに崩れていて、体重が増えやすくなっていたため、食事を減らして練習を増やすことで体重を落とそうとしていました。これは大間違いです。
第四に、メンタル的に自分を追い込みすぎないようにしてください。
オーバートレーニング症候群は、几帳面で完璧主義者の人がなりやすいそうです。
僕も当時は、決めた練習メニューをこなさないと気が済まない方でした。また、一気に体調が悪くなったのは、サブスリーは無理だと思ったときからだったので、やはりオーバートレーニング症候群はメンタルの影響で発生する側面が大きいのだと思います。
以上の4点を一言でまとめると、当たり前のようですが、疲れたらしっかり休むのが大事だということです。
(1)タイム、距離、体重といった数字を追わずに、(2)体の声を聞いて、(3)体にも心にも活力がわいてくる生活を心がけましょう。
今だから言えますが、これはめちゃくちゃ大事です。オーバートレーニング症候群の予防のみならず、練習の効率化の上でも非常に重要な考え方です。特に中高年ランナーにとっては、記録を伸ばすためにも、健康を維持するためにも、練習と日常生活の双方において最も強く意識するべきことかもしれません。
オーバートレーニング症候群の原因
オーバートレーニング症候群が起こる原因は様々なようです。
僕は医師ではないので、専門的なことはよく分かりませんが、ホルモンバランスの乱れが原因の一つではないかと考えています。
副腎疲労という病気がありますが、それと症状が重なるところも多くあるようです。副腎疲労はアドレナリンやコルチゾールといったホルモンのバランスの乱れを引き起こすので、一部のオーバートレーニング症候群の正体は副腎疲労なのかもしれません。
オーバートレーニング症候群の対策
では、オーバートレーニング症候群になってしまったら、どうすればいいのでしょうか。
僕の経験からは、以下の対策が考えられます。
- 3~4週間は完全オフ
- 睡眠と栄養をしっかり取る
- 心身ともにリラックスする
まず、3~4週間は完全に休みましょう。人によっては数カ月の完全休養が必要になる場合もあります。心身ともに練習をしたくてウズウズするまで休むのが大事です。
オーバートレーニング症候群になるような人は生真面目なので「練習をしなければ」と思いがちもしれませんが、心と体の声に耳を傾け、本当に練習がしたいと思うまで休みましょう。
オーバートレーニング症候群はそもそも、心と体の声が聞けなくなって起こるともいえます。この声が聞けるようになるまで3週間くらいはかかると思うので、それくらいは休みを強要するのがよいかもしれません。
次は予防法とも重なりますが、睡眠と栄養をしっかり取ることが大事です。
運動を減らして栄養をたくさん取ると、たいていは体重が増えますが、この時期は気にしないことにしましょう。
また、休んでいると生真面目な人は「こんなことでいいのか」と思ってしまうかもしれませんが、いいんです!心も体もリラックスして、活力が戻ってくるのを待ちましょう。
まとめ
オーバートレーニング症候群とは、疲労がたまりすぎて体力が容易に回復しなくなる症状です。
予防と対策には、上記のポイントを押さえて、心と体の声を聞き、活力を上げる生活を心がけることが大事です。
日頃から、心と体の声に対する感度を上げるように意識して、オーバートレーニング症候群を回避しましょう。