こんにちは、ぴぴおです。
今回はちょっと趣向を変えて、最近読んだランナーズOnlineの記事について私見を述べてみる。
2023年11月21日付けで、「【深掘り!全日本マラソンランキング 03】女子のサブフォー=男子の3時間30分切り? 男女のタイム差を考える」という記事が掲載されていた。
この記事は、ランナーズが集計している年齢別マラソンランキングのデータを分析したシリーズの一つのようだ。
記事では、女子のサブスリー、サブ3.5、サブフォーが上位何パーセントに当たり、それに相当する順位の男子のタイムがどれくらいかという観点で、女子のタイムが男子ではどれくらいに換算されるのかを試算している。
- 女子のサブスリーは上位0.65%で、それに相当する男子のタイムは2:37:36(タイム差22分22秒)
- 女子のサブ3.5は上位4.08%で、男子の相当タイムは2:58:47(同28分48秒)
- 女子のサブフォーは上位13.88%で、男子の相当タイムは3:29:05(同30分54秒)
よって、女子のサブ3.5は男子のサブスリー、女子のサブフォーは男子のサブ3.5とほぼ同じレベルだと言えると結論づけている。
同じような意見は他でも聞いたことがあるが、長年、いろんな人と一緒に走ってきた感触からすると、この比較は女子に甘すぎる。
同じような運動経験があって、同じような熱意で練習をしている男女で比較すると、男子のサブスリーは、女子では3時間半よりもだいぶ速く、かつての国際女子マラソンの標準参加記録だった3時間15分に近いというのが自分の肌感覚だ。
データと肌感覚でなぜこのような差が出るかというと、男性ランナーと女性ランナーの気質に違いがあるからだと思われる。
男性ランナーは、記録更新を目指して、練習計画を立てたり、生活を律したりするようになる人の割合が女性ランナーに比べて圧倒的に大きい。どちらが良いとか悪いとかいう話ではなく、実際の傾向としてそうだということ。
つまり、女性ランナーの母集団と男性ランナーの母集団を全体として比べると、マラソンの記録に対する執着度が全然違う。
そのため、「上位何パーセント」というくくりで比較すると、男性の方が不利になる。
しかし公平に比較しようにも、こうした熱心さや記録への執着度をデータに反映するのは難しい。
女性ランナーも最もシリアスな層は、男性ランナーの最もシリアスな層と同じくらい熱心に練習していると思われるので、この層で比較すれば、公平な比較ができるだろう。
誰かそのような比較をした人がいないかと探してみたら、興味深い視点で詳細な分析をされている方がいた。
ランニングクラブ「ウルトラプロジェクト」とブログ「ウルトラランナーへの道」を運営されている新澤英典さんだ。
同ブログの記事(およびその続編)によると、新澤さんは陸上競技の100mからマラソンまで男女の世界記録および日本記録を比較し、その差がほぼすべて1.1倍になっていることに気付いた。
才能のある人間が全力で努力すると、走ることについては距離に関係なく、男女で1.1倍の差がつく、ということが経験則として言えるようだ。
この経験則をマラソンの区切りの良いタイムに当てはめると、男子のマラソン3時間は女子では3時間18分、3時間半は3時間51分という計算になる。
これは、自分の肌感覚とも一致する!
1.1倍の法則はトップアスリートに限定されるものではなく、我々のレベルでも当てはまるようで、かなり普遍性がありそうだ。素晴らしい考察!
ランナーズも「深掘り」というのなら、この辺まで踏み込んで分析して欲しかった。